SF的頭の体操
水の星に住んでいるなあと、実感する時がある。 フロントガラスを雨が無遠慮に叩き、空には厚く灰色の雲がまだたんまりとあり、何本もの川にかかる橋を渡っている最中。 違う星のありかたを想像してみる。SFテイストな頭の体操。 重...
水の星に住んでいるなあと、実感する時がある。 フロントガラスを雨が無遠慮に叩き、空には厚く灰色の雲がまだたんまりとあり、何本もの川にかかる橋を渡っている最中。 違う星のありかたを想像してみる。SFテイストな頭の体操。 重...
お勝手から出入りして良いのは三河屋だけである。人の出入りは玄関からのみ許されている。 しかし人はあらゆる角度や導線から人を知る。同時代を生きた人にとって、ルソーは露出狂であり、名著を数多く残した偉人ではないかもしれない。...
その隙間を覗いたら、誰かと目が合うに決まっている…。 カーテンが少しだけ開いている。シャッターが半開き。気になる。子供のような好奇心で、目が離せなくなる。良い三和土だ…意を決して…いや、ほんの軽い気持ちで、もう少し覗こう...
とあるオフィスビルの…搬入用エレベーターに「最大収容人数34名」との文字を見つけ、なんだか猛烈に懐かしくなる。 もうそんなに乗れないよ。これはエレベーターの機能の話ではない。月並みな表現だが、このエレベーターはこれまでも...
ワイパーの弱い動きを見て、猫がその短くカギ状に曲がった尻尾を時折動かす様を思い出している。 妻は横になっていると、足の指を曲げ伸ばしたりする。またもや私は、猫の尻尾の動きを思い出す。 じっとしている事が苦ではない生き物た...
現実を描くのは難しい。ボサッと突っ立っている時に、目の前にある植え込みの柘植の葉っぱがどのような規則に依った生え方をしており、その規則がどの枝で破られて、太陽光線をどこが浴びてどこが翳っているのか、どこまでが古い枝で、ど...
忘れものみたいな太々しさで嵐がやってくる中で、私は弁当の中身を覗かれ続けた。 それがどうにも我慢ならず、私は亜麻と葡萄酒をことさら憎み、友人の父らの無遠慮な流し目をすべて引っこ抜いた。 あいつら(小休止)電子レンジにあて...
「狂気の桜」で須藤元気がベッドの上、腰から下が動かなくなっているのはサラリーマンのメタファーだなーと思っている。という話を誰彼構わず事あるごとに言って回っている気がする。そんなことない? 何を暗喩しているか。それは、言責...
今日は一日ソワソワするような風に当てられ、涼しく過ごせ、しかし日中の勤めを終えて家に帰ってから、台風の去来を告げる風に日中と同じように当たっていると、私の心の中に私一人を除いて誰もいないことに思い至り、これはなんとも、如...
母は高校時代、剣道部のマネージャーだった。 初めて有段者となった時私は、段はいくつまであるのか、最高位の八段は、数えるほどの人しか有していないことなどを聞いた。 「八段持ってる人が少ないなら、八段の審査は誰がするん?」と...