斜交いのポーチュラカ

文明は世界を区切って蓋をしたり幅を狭めたりすることだ。誰かが言った。偉人かも知れないし、偉大なる友達かも知れない。人だった。宇宙空間は底なしに広がっていて、私たちは穴倉に住むモグラではない。玄関を出た私たちの頭の上に宇宙...

あくがれ

青春時代を過ごしたライブハウスが閉店するとの報を受ける。驚かない。いや、驚くまで、忘れていた。人は生きている。あの場所でも、この場所でも。それを忘れていた。ガタついた網戸を潜り抜けて、小さな羽虫が入り込む。まあいい、どう...

ノトーリアス科捜研

ハチャトゥリアンの『剣の舞』が好きである。全然、アカデミックに好ましい気持ちが湧いているわけではない。何をイメージして作られた曲なのか、全然調べてない。上を下への大騒ぎ、奴隷同士にレイピアを持たせての殺し合いを肴にした狂...

生かされているようだ

相も変わらず死への恐怖で頭を掻きむしって、わあわあ口走ったりする夜がある。ガットギターを爪弾いて、アースグランナーを観る息子。液晶越しに見る、隣の部屋の父の顔。zoomのクラス会らしい。チャリチャリ言わなくなったキーをポ...

あちらには彼が

あす、6月20日はコーヒー ムテのドライブスルー。北名古屋市のヘアサロン、tablier さんの軒先をお借りして行います。あっさりしたもの、どっしりしたもの、2種類のブレンドをご用意。ドーナツもございます。遊びに来てくだ...

二人は止められない

濡れないように歩くより、手ぶらで体を捧げてしまう方がいい。裸足でステージに立つミュージシャンが苦手だった。自然体であろうとする姿勢(この表現がもう、トラックに置き去りにしたいくらい、陳腐で恥ずかしい)を額面通り受け止める...

私の名前とは

いつも名前を探している。 今日は電話を何本もかけた。海沿いで、コーヒーを淹れたいんです。電話口からは、思った以上の困惑が伝わってこない。良い人が電話に出てくれた。もう一本、おたくの神社の舞台でライブをしたいんです、という...

雑然と思うでしょう

ガットギターを弾いていると、時々弦を弾く指先に目がついているような感覚を覚える。目、というと正確さを少しく欠いているかもしれない。指先にそれが備わる事で初めて、私はナイロン弦を間近に見て聴いて、触ることができているように...

口を開いたのがはじまり

メタセコイアという名前の樹木がある。三木博士という方が発表した論文によると、絶滅したと考えられていたスギ科の樹木だったが、1940年代に中国の四川省で神木として祀られているものを、現地の学者さんがメタセコイアであると同定...

8月32日

昨日は日記を書き忘れていたようである。もし私が今、ラップトップを閉じて液晶テレビにたたきつけ、i-Phoneを不燃ごみの袋に投げ入れ、日めくりカレンダーを最後のページまで破いて捨てて、時計の盤面を玄翁で叩き壊したとしたら...