まだここにあるもの

「ものすごく高尚な手段をさ」水際を遠くまで細かく跳ねる石、橋脚を目指していた。「足りない頭の人でも、考えなくても選ぶことができるのがいけなかったんだね」私はうなづいて、車輪に絡めとられて失った親指の妄想をする。じゃあどこ...

選択肢に挙がる

イカサマ師になろうと思い立ち、ギターを手に持ったようにあなたにも迷わずネクタイの柄を選べる日は来る。その駒は最初からそこにあったのか、気づかれることのなかった空白のどちらかであって、こんにち、ビルが建ち尽くし土に蓋をしつ...

近寄らないで

ラッセ・ハルストレム監督の映画を観る。4本目、タイトルは『ギルバート・グレイプ』。心を確かに支えていなければ、登場人物たちの会話する様、逆手で手にしたスプーンの中、牛乳に浮かぶブヨブヨのオートミールなんかが、私が普段の暮...

フロアへ続く扉

「もうひとり、ムーアって苗字の人がいたよな…有名な人でさ、誰だっけ」夕立は明け、彼女は去った私は後を追いかける、足を前に出すたび、その場で転んでまいど天を仰ぐ一向に近づいてこない背中、鷺がカアとか言う 夢を終わらせるため...

テタテタ2

どうにかして笑いをおびき寄せる卑屈さもまた、薬莢を残して彼方まで飛びうるのだ私は地べたのつちくれを舐めるふりをして為政者に唾をひっかける技法を学ぶ子供らはあっちへお行き。そして瞬きを禁じます鳥の首を落とすより早く簡単に、...

テタテタ

脆弱さはひとつの大いなる凶器だった。明日、味噌汁に押し流されて喉を伝う神経毒が粉塵爆発の悲惨なニュースにもみ消されて私と、私以外の少なからぬ人々がモニターの向こう歯噛みしてセラミックをたわませるあの…ぼんやりと立ち話がこ...

愛に

死に化粧のまま君が二度笑う一度目は花に、二度目はうっ血した手首に私たちにとってかわる私たちすり替えは続いている。夜通し明るい投光器が照らし出す土嚢の山になにが詰まっているのかをたしかめる術はない堀を越えて抜刀した火をつけ...

宇宙人たちへ

朝、時間がぽっかりと口を開けてやさしく私を迎え入れてくれたような気がして、大船に乗ったような心地で本を読んだ。『宇宙人の食卓』、私は小指さんの作品が好きで、とても一方的に、彼女のキッチンで私の焼いたコーヒーが落ちる日を夢...

なくした海に来て

かなたまで揺れる波を見てた、白く泡立って、飛び跳ねる波を見てたしかるべき隠れ場所を見つけてタンカーは海を汚した海底にあるものは本当に人の残したものなのか?母のブラウスを汚して遊ぶ乳飲み子のような神が立ち寄った跡なのか?私...

喜びを終える。

今日も誰かの誕生日である。私にはそれがわかる。東かどこかの国で作られた、安さと不確かな書き味がチャームポイントのマジックペンに綴られた謳い文句が私の眼球を釘付けにする。「最初の絶対ビットの父を持つ 次の人生が利用可能にし...