フロアへ続く扉

「もうひとり、ムーアって苗字の人がいたよな…有名な人でさ、誰だっけ」
夕立は明け、彼女は去った
私は後を追いかける、足を前に出すたび、その場で転んでまいど天を仰ぐ
一向に近づいてこない背中、鷺がカアとか言う

夢を終わらせるための鍵はいつも同じ
私は横になり、コンクリートに打ち捨てられた魚の真似をして跳ねるように身を捩らせる。
空はいつも災いを呼び寄せる、それはそれは大きな穴で
いつかの人類が土の下に住んでも、私は驚きはしないだろう
いつの間にか戻ってきた彼女が言う…
いやこれは昨日の記憶だったか。
「気にかかってることをまず終わらせないと」「だから」「いつも何にも身が入らないのよ」
私は相変わらず身を捩らせている、夢から醒めたのだろうか?
あっ、ゲイリー・ムーアだ。
改めて身を捩らせる。虹が迎えに来る。