今日のブッチャー

永遠の正体を知る肉屋がわたしに耳打ちする…100g348円です。 永遠の正体を知るわたしは、その事実は隠そうともせずに舌打ちを交えてこう言う…まからんのですか。 永遠の正体を知る肉屋が、知っている素振りをやめて慌てふため...

どうにかしてみたい

優れたガラス片をかき集めて 革張りの靴でなんども踏みつけると とある未来に思い至るかもしれない。 約束を交わす列は8月いっぱい途切れそうもなくて、私は替えのTシャツを忘れたことを後悔する。 わたしも、湯船に何度も潜ってみ...

塗り薬

「とっても不確かなことがあるでしょう?」 彼女は炎の中に丁子をひとつまみ入れる動作で祈りを捧げる。 また続きの話を聞かせてあげようと、席を立つそばから湯気が耳元に運んでくる叢雲…それを見つめる1匹の蟷螂。 やつの白眼には...

訪ねてこない人の列

取り沙汰された夏は20年あと、いまだ香りすらやってこぬ季節。 その時私たちが一緒にいることが、どんな意味をもたらすかな? どうにかして溢さずに平らげたソフトクリームの、包紙の鋭角、見上げるとクスノキ、猫。 だけど君は熱に...

超低遅延の赤い波間に

あいつは楽屋にいる間じゅう、『蠱惑の上更東』を歌ってたっけ。 古いナンバーで…とかなんとか言いながら、Carlton & the shoes みたいな、気の抜けた裏声で、…けれど他の何人かが身を乗り出して耳を傾け...

ピケ

つぶれかけた光に向かって、追剥は鉄条網をすり抜けるあの奥で銃を作ってるんだってさ、ほんとかな。テニスコートにしか見えないけれど…どうしてあんなに禿げ上がってしまったのに、おじさんは先物為替に詳しいの?海の全容を暴くには私...

新しく進まない時計

僕とあなたの、一体何が重なり合って現にいま僕は胸倉を捕まえられ前に後ろに、揺すられている?瞳の色に馴染みがないから、初対面だとわかるように産毛が掴んだ情報をもとに、体中から警笛が鳴り響く。走って逃げろ!虹彩が持ち込んだな...

お腹がいたいのかも

サンドイッチ屋はまず決めた、フルーツサンドのクリームが腐ってそぼろみたいにカタストロフを迎える日どりを。後は来るべきにむけてマンゴーを日に晒しておけばよかった。マジシャンの並ぶ列は壮観だなぁ、彼らも不本意かもしれないが、...

綺麗好きなハミルトン、その彼の肉

涼しさを加速させた彼のナンバーは、耳の奥、無菌室に出入りするような心地。時計の針の音がうるさいので、ここで話せたことじゃないが、時制と主語を失いつつある(ほら!まだある)私の言葉の内において君の億劫さと私のヨードチンキの...

冷蔵庫の外の話

ポワソンが届くまで、私は待てなかったのだろう。話が奴の独壇場になると、決まって煙草に火をつける彼が、目を開けた時にはコンソメを頭から浴びて、今まさに、大やけどを負いつつある最中、邪魔してはなるまい。私はありったけのナフキ...