綺麗好きなハミルトン、その彼の肉

涼しさを加速させた彼のナンバーは、耳の奥、無菌室に出入りするような心地。
時計の針の音がうるさいので、ここで話せたことじゃないが、
時制と主語を失いつつある(ほら!まだある)私の言葉の内において
君の億劫さと私のヨードチンキの匂いに対する嫌悪感の外郭が溶け合って、見わけがつかない。
猫が窓の外を眺める。ここから海を臨むことはできない。
仕方なしにバイパスから漏れ聞こえる排気音を波に見立てる。
見立てる?五感の中を出入りする小さな生き物の発言みたいだ。
豚の産毛、つぶらな瞳、細かくひくひくと動き、その通りの音を立てる鼻。
彼の肉を桜で燻し作るベーコンは格別である。
息子はパリパリに炒め切ったようなベーコンをしか好まない。
でもそれもすぐに終わる。