ガソリンを泳ぐ魚

どうして私の身体ぜんたいはジタバタするのだろう。
ギターを一弦だけ、選んで音を鳴らす。
心はすぐ、次の関係を求める。
指を振り下ろして和音を出せ、さもなくば旋律を起こせと吠える。
なだめすかして、再び弦を震わせる。
今度は革張りのソファに深く沈み込むような、快感の渦に飲み込まれる。
撫でてよい猫、ふれて良い唇があって、いかさまでなく私のために控えている夜もある。
それじゃあ私はC#の音を鳴らす、
あちらこちらへ訪ね歩いて、微笑んだり相槌を打つためのガソリン、その中で泳ぎ鰓でなにごとかを濾しとる魚にわたしはなっている。
起爆剤の中で過ごす気分は、思ったよりも平気だ。