ひどく不恰好だ

「変えなきゃいけんよね」 執拗なまでに波紋を広げた何かが、なんだったのか私は見ていない。音のした方に首を…いや、目を…もとい、目すら向けていなかったかもしれない。石だろう。入力された情報は何の情報の援軍もないうちから解決...

T.K.と刺繍の入ったハンカチ

彼は、71円だけ握りしめて入ったコンビニで、何を見たのだろうか ありとあらゆる、そうでないものの中から、手持ちで買えるものを探す様はまさに白のなかにカラスを探そうとする求道者。 しかし、ここには彼の得られる conven...

にらめっこ

長靴は片側三車線の、広いバイパスの上にあった 高速で蓋をされたバイパスの上、車線と車線の境目に寝かされて落ちていた(人間とは勝手で、こんなにも小さいくせに、頭の上にモノがあるだけでこんなにも息苦しい) その沈黙に目を向け...

stubble

男は生まれ、そして間違いなく死んだ。 彼は彼女のこれまでの半生とはまるで関わりがない(この一節は筆者の親切心の析出である)。 大きめのロッドで巻いたパーマのよく似合うそのウェイターは、左手で彼女の髪を弄びながらオーダーに...

続・死にたいことについて

私たちの成熟した社会における営みの殆どが、徹底的に間違っている…いや、生物として不自然である可能性から、私が目を逸らして生きている理由は、単純に面倒な事に首を突っ込みたくないから。死ぬのは猛烈にこわいくせに、死にたいから...

たぶん死にたいだけ

ビートルズの歌を下劣なものだと見做して顧みなかった人は、当時もいただろうし、ブルース・スプリングスティーンの歌詞はただのハートランドの…アメリカの一辺境の労働者について歌ったものでしかないと、断じた人も当時はいただろう。...

SF的頭の体操

水の星に住んでいるなあと、実感する時がある。 フロントガラスを雨が無遠慮に叩き、空には厚く灰色の雲がまだたんまりとあり、何本もの川にかかる橋を渡っている最中。 違う星のありかたを想像してみる。SFテイストな頭の体操。 重...

全てが時間芸術

お勝手から出入りして良いのは三河屋だけである。人の出入りは玄関からのみ許されている。 しかし人はあらゆる角度や導線から人を知る。同時代を生きた人にとって、ルソーは露出狂であり、名著を数多く残した偉人ではないかもしれない。...

二の句はお好きに

その隙間を覗いたら、誰かと目が合うに決まっている…。 カーテンが少しだけ開いている。シャッターが半開き。気になる。子供のような好奇心で、目が離せなくなる。良い三和土だ…意を決して…いや、ほんの軽い気持ちで、もう少し覗こう...

思い出せない

とあるオフィスビルの…搬入用エレベーターに「最大収容人数34名」との文字を見つけ、なんだか猛烈に懐かしくなる。 もうそんなに乗れないよ。これはエレベーターの機能の話ではない。月並みな表現だが、このエレベーターはこれまでも...