パー4

なあおい頼むよ、顎からガブリといってくれここはイーグルを狙いたいんだ幸い風もないし、朝一番のホールだあいつらが犬の糞を見落としたりしていない限り…俺の行くてを阻むものなんか何一つない『出生の秘密…』みたいなビギナーモデル...

眠いな

極北を進路に据えて大腸は銀河を駆け抜けるここは破り捨てられたカリカチュアの厚紙の墓場大連の湿地帯をすり抜ける一枚のタブロー天気の話ひとつできないで爪ばかり伸びていく駅に向かう先週から予定されていた約束は交わした日そのまま...

干渉会

彼はいつ何時でも誰かの視線を感じて、落ち着いてはいられなかった。しかしその視線の主が他人ではないこと、ともすれば、彼自身のものであることに気がつきつつあった。昆虫の標本は、そのどれもが翅をむしられていた。空を飛べる間の鳥...

主治医と亜希が

スカンジナビアの町を覆ったのは基本的な暴動だったごく優しい熱波が作物を根底から枯らし、スーパーマーケットにはあらゆる早耳が列をなした木枯らしの吹き荒れる間に財産を数え終えた男はピックアップトラックを一台調達した荷台でソリ...

ここでなくてはならない味

合言葉は単純なものだったが、虹色でなくてはならなかった。私はちょうど赤を切らしていたので、辰砂を調達に行かねばならない。奇しくも街には2年ぶりの列車がやってきており、車内で産まれた赤子のつけた花が水気を吸って甘い匂いを漂...

駅員

男は耳の中まで駅員に包囲されていた。彼のため息や毛繕い、笑う直前に現れる笑窪は全て駅員のためにあったし、これからもそうであるだろう。彼の訪れるレストランは超満員、アパレルショップは連日ソールドアウト。しかし彼が誰かの尊敬...

時間士

彼は学生の時分から、そののんびりした気質が災いして多くの失態を冒してきた。見かねた両親は彼を都会へ進学させることに決めた。時間士の普及した土地であれば、社会全体が彼の尻拭いをしてくれる、との魂胆だった。事実、彼は空いたベ...

逃げる2月逃げる

検査結果は良好ではなかった。西に進むべき全ての挙動を葡萄の房が遮るので、彼はもう何年も日暮れを拝むことなく歩き続けていた。絡まった釣り糸をほっぽり出して、町の男たちは彼を一目見ようと突堤を後にした。さっきまで影を潜めてい...

身体化レギュレーション

もうこれ以上遡る必要のない歴史のドミナントな出発時点は昨日の夕方「シンクに落とした包丁が返ってこない」妻の一言で背広のまま海峡横断の旅が始まる首が一番、息が詰まるとか発するので上手に砕いた珊瑚で傷つけて血に誘われた大きな...

Hirugao

今月、56回目の約束を破ってなんだかちょっと、泣きぼくろ以上のご褒美をもらえんじゃないの?セーターが熱くなる\ 気がかり 踏みしめるそばから崩れて砂になる去年の山茶花距離がわかれば近づくことも遠ざかることも簡単だよ数字を...