逃げる2月逃げる

検査結果は良好ではなかった。
西に進むべき全ての挙動を葡萄の房が遮るので、彼はもう何年も日暮れを拝むことなく歩き続けていた。
絡まった釣り糸をほっぽり出して、町の男たちは彼を一目見ようと突堤を後にした。さっきまで影を潜めていた、波が防波堤を洗う音が漂う。
見ず知らずの衆人に、初めての店のコーヒーフロート。皿の上の料理を綺麗に刮いでウェイターに返すことのできない料理を思いついてしまう、日本人の不躾さを体現したようなメニューを平らげる。
マラスキーノ・チェリーひとつぶ。
これ、いるか?
煙草を揉み消して水を飲む。
あいにく今日は体の調子がひどく悪く、巻紙の燃える匂いしか感じられない。野ネズミはみんな飽き性だ。こぼれ球を音速で投げ返す。これはぎりぎり現実。
編集の質の悪さゆえに生じた、スペイン語に翻訳されたアニメのセリフと口の動きとのタイムラグの隙間に飛び込み、涙を掻き出してようやく出勤だ。歯ブラシを忘れてはなるまい。
今日は会食が続くからな。