建造物でない生き物

会話をしていると、その言語が組み立てた構造が見える時がある。認識できたときに私の身に訪れるものは快感である。同時に、宙に浮いたわけでもないのに高台から遠景を見下ろしているときのような、優越感や、がっかりしたような気持ちと...

薬缶とセカンドサマーオブラブ

薬缶を新調する。しかしもう2年近く迷っている。薬缶こそ、されど薬缶なのだ。 クリアしておきたい点はいくつもある。インターネット上の画像を何度も右に左にスワイプして、確認できることもある。できない事の最たるものが、お湯を沸...

どうして貴方はあの時…

ノブを持ち上げ、熱い湯を浴びて数秒、風呂場の入り口で感じた視線は気のせいでなかった事に気づく。今年2度目のゴキブリとの邂逅。今回は丸腰も丸腰だった。 我々人類が一定の温度以上の湯を浴びてのたうち回るように、ゴキブリもやは...

久しぶりに思い出した事

なあ、兄ちゃんには見えるの?俺がさあ俺があのサリンジャー?の影響を受けたみたいに橋の袂でさあ、両足こんんーなにして踏ん張って、サ今から屁でもスンじゃないかってくらい顔真っ赤にしてさあ、長渕剛の乾杯を歌ってるとことかさ兄ち...

独白

魔女狩りの経験を経て、急速に高まった他者への関心を満たすべく、小説と呼ばれるものが生まれた。らしい。日本は?魔女狩りと似たような性質の出来事や取り決めは、挙げればキリがないと思うので、元から他人への関心が高かったんじゃな...

役者が似ている

何度か間違える。一体どこの誰がそそのかしたら、ザクロと釘を煮ている鍋に着物を一緒に入れようと思うのだろうか。 まさか、未来から来た人の教えか。それはつまり神か。そんな事を考えている間に、シャンプーとリンスを取り違える。も...

すぐ忘れる。

思う所があってギターを手に取った。曲を作ってみようと思い立ったのである。何年ぶりだろう、社会的な目的…例えば、友人の結婚式や前座の欠員といった、他者との営み無くギターを持つなんて久しぶりだった。 悲しい事があったんだろう...

寝入り端に考えること

床に突っ伏している。心地の良い疲労感と満腹による強烈な眠気は、布団で寝た方が疲れが取れるはずという、正常な判断力の首根っこを掴んで屈服させる。ちょうどここで突っ伏して身動きの取れなくなっているわたしそっくりの状態だ。 寝...

振り返すことを辞めたんだったか

仕事中や暇な時間、ポッドキャストを聴いている。四六時中音楽の世界に浸っていてもいいのだが、ありとあらゆる音色の、ありとあらゆるリズムの中を行ったり来たりしていても、例えば鯵の仲間は皮の外側にある骨を梳いて取り除かねばなら...

名前が決めている

名前の付け方にとっても関心がある。ママの名前を冠した美容院は、その母数が増えてるような感じはしない。 縁起の良い言葉や地縁のある人物の名前、長続きするようにと願いを込めて、日本一の長編小説の名前を冠した喫茶店。最近はあん...