役者が似ている

何度か間違える。一体どこの誰がそそのかしたら、ザクロと釘を煮ている鍋に着物を一緒に入れようと思うのだろうか。

まさか、未来から来た人の教えか。それはつまり神か。そんな事を考えている間に、シャンプーとリンスを取り違える。もう4回目だ。

新しいそれらに変わってから、取り違える頻度が格段に増えた。泡が目に入らぬよう、薄目を開けているわけでもなくこのまなこでこのかいなで、何度も取り違える。

きっと入れ物が良くないのだ。私は考える。どうして私は、やったこともないのにレタスを煮物にしようとは思わないのか。前世の記憶か、それはつまりソクラテスの想起説か…その合間に私の失態を私はプロクター&ギャンブル社の過失だとする。卑怯な男だ。起き上がれなくなるほどの明確な自己嫌悪からは程遠いところで、膝を折って泣くふりをしてみせたりする。

そして今日、その失態の瞬間を私の意識は捉えた。白だ。シャンプー液の白の質が、リンスのそれと酷似しているのだ。そしてそれが、透明なボトル越しに視認できるシャンプーと、不透明なボトルのために、できないリンス。

私は、なぎ倒された稲穂でできた嵐の轍を見るようにして、この脳みそとか呼ばれる部品の足跡を垣間見た。