その川は深い

春らんまん、架空請求の嵐。シードルを身体中に塗ったくって男は川へと割って入った。後に何割か増して膨らんだ水死体となって花筏の吹き溜まりで見つかるその男はバチャバチャと汚い犬かきをしながら泡の浮力がどうの、とか、俺のチンポ...

架空の独り言

たしかスペース…スペースマウンテンだったかな…?本気の猿に思い出せるのはこれくらいなんだ、ごめん。でも勝ちに行ってよ。俺の分もさ。そう、ポカリスエット…大概のことはポカリスエットなんだ。アルキビアデスの昔から、オリジナル...

1/16日記

まだ木本としての生を全うしたことも、朝起きたら庭の山茱萸だった、なんてこともないから、移動しない生命というものの心境には考えが及ばない。いやちょっと待て、木にとっての心境をどのように定義している、木々を上からみたことはな...

牛脂

レニーの船はひと息に沖へ進み出た。他にも何隻か船影が、昨日より濃く立ち込めた霞越しにゆらゆらとちらついて見えるが、誰が乗っているのかまではわからない。そもそもこの海に知り合いは初めからいなかったことに彼は思い至る。しかし...

真珠供養

経なら俺が上げてやろうか。しかし疲れ切った体でよくもまぁあんなセリフが抜け抜けと言えたものだ。 私は坊主が嫌いだ。坊主と釈迦は月とスッポンじゃないか。坊主が坊主の…私の思う坊主の本懐を成し遂げようと考えたのならば、市街化...

いるかも生きていることの証明

最初は耳を疑い、納得できなかった者もいたけれど、故郷を離れて東京で生活する人たちは皆、固有の名前を剥奪されて、出身地域の名称で呼ばれることに、違和感を抱くものはいなくなった。心地の良さを覚えるものもいるだろう。なんせもう...

1/9 日記

アニメ『プラネテス』の再放送が始まった。たしか学生時代、狂ったように漫画を読み漁っていた頃に、後輩の家に全巻揃っていて読んだのが同作との出会いだったように記憶している。現代版『銀河鉄道の夜』だ、となぜか当時そのように認識...

1/7 日記

なぜだかわからぬが、あなたが生きていることにとてつもない喜びを感じる。そして不可解に思う。なぜだかわからない点に、ではなく、とてつもない喜びを感じるところに。車窓外に、山があり海があるのはまだ許せる。しかし突堤の向こう側...

1/6 日記

今日も仕事の合間に長屋に向かう。シャッターに開けられている、ポストの役割を果たす横長の穴に水道メーターの問い合わせ用紙が挟まれていた。使用料を記入して、再び穴に差し込む。友人の声かけにより、人生で初めてのパーカッション…...

群盲のパレード

誰でも構わないとは言えない…しかし誰でもいい!言葉をたくさんかけてもらいたいのだ暖かく水圧は強くないが私の体を余すところなく温めてくれるシャワーにあたりたいといった欲望に近い 静かにしていたい…そのために喚き立てている!...