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またもソファで朝を迎えてしまった。午前5時半。朝まづめ。メダカにエサ。タバコを吸いに表に出ると、夜の間冷やされ、少し湿り気を帯びた空気が美味しい。タバコより美味しい!と鼻をひくひくさせて嗅ぎ回る。新鮮な喜びは次第に消えていき、タバコに火をつける。

種々の連絡やコーヒー豆の発送準備を終え、夕方はバンドの練習。音合わせの時間は楽しい…と感じ入りたいところだが、まだまだ自分の演奏で一杯一杯である。明日は本番である。とちらない心構えだけは整えていこう。
その後ケケへ。拠点の近くに顔の知れた店があり、出迎えてくれるのはとてもありがたく嬉しいことである。
そういえば郡上おどりに出向いた際も、前掛けも外さず、川縁で足を浸しながら井戸端会議に興ずる婦人二人組や、祭りの最中、通りのはずれにある暖簾のかかっていない寿司屋に消えていく壮年男性の集団などを見るにつけ、ひとつの街に長くとどまること、そこで名を得て顔を売っていく営みに憧れたものである。世界は広くなくても良い。食っていけるのならば、そこが世界の終わりと見なしてもいいのかもしれない。あの街やこの街で、誰かに愛されたり無視されたり、子を産み育てたり孤独に苛まれたりしながら小さく終わっていく無数の人生を全て体感してみたい気持ちはある。人生がいくつあっても足りない。