まだ生暖かくて

「赤」と書く以外やることがない。ひさしぶりだ。カタカタとキーボードを叩く音を憚る気持ちがある。ここは寝室、傍には妻と子が眠っている。傍をどこまでの範囲に敷衍してそう呼称するか?という問題に私が22世紀的な答えを与えるとす...

怪獣がやってくる

怪獣がやってくる怪獣がやってきて僕の懐から38口径を奪い取ってこういうんだ「こういうものは季節が過ぎ去った後の轍みたいなものだ誰にも思い出せない水のしたたりが君に見えるか?」そんな言葉遊び、意味がないし関係がないよ、僕の...

眠くなったのでここで終わり。

ふーんと唸って、あいつは皿の上にあるコーカサス料理を端から順に吸い上げていった。ローズマリーの茎を取り除かないタイプの料理人ね、つまりはマッチョイズム、大胆な容姿を殊更に褒めそやす旅団の一味に君もなるか? 今日も規定数の...

その他、ハイミーなど

おどろいたな。雑踏の中から這い出てきて、拳をあげ歌う同胞を俺は求めているのであって、鼻から重力の理屈の異なる異星人なぞお呼びではないのだが…。「父も母もたまたまそうだったから、僕も路上ではパンツから上、何も履かない」って...

その川は深い

春らんまん、架空請求の嵐。シードルを身体中に塗ったくって男は川へと割って入った。後に何割か増して膨らんだ水死体となって花筏の吹き溜まりで見つかるその男はバチャバチャと汚い犬かきをしながら泡の浮力がどうの、とか、俺のチンポ...

架空の独り言

たしかスペース…スペースマウンテンだったかな…?本気の猿に思い出せるのはこれくらいなんだ、ごめん。でも勝ちに行ってよ。俺の分もさ。そう、ポカリスエット…大概のことはポカリスエットなんだ。アルキビアデスの昔から、オリジナル...

1/16日記

まだ木本としての生を全うしたことも、朝起きたら庭の山茱萸だった、なんてこともないから、移動しない生命というものの心境には考えが及ばない。いやちょっと待て、木にとっての心境をどのように定義している、木々を上からみたことはな...

牛脂

レニーの船はひと息に沖へ進み出た。他にも何隻か船影が、昨日より濃く立ち込めた霞越しにゆらゆらとちらついて見えるが、誰が乗っているのかまではわからない。そもそもこの海に知り合いは初めからいなかったことに彼は思い至る。しかし...

真珠供養

経なら俺が上げてやろうか。しかし疲れ切った体でよくもまぁあんなセリフが抜け抜けと言えたものだ。 私は坊主が嫌いだ。坊主と釈迦は月とスッポンじゃないか。坊主が坊主の…私の思う坊主の本懐を成し遂げようと考えたのならば、市街化...

いるかも生きていることの証明

最初は耳を疑い、納得できなかった者もいたけれど、故郷を離れて東京で生活する人たちは皆、固有の名前を剥奪されて、出身地域の名称で呼ばれることに、違和感を抱くものはいなくなった。心地の良さを覚えるものもいるだろう。なんせもう...