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スタートダッシュで出遅れる…。みなさんはレースゲームのゴーストという存在はご存知だろうか。自身の最高記録を打ち立てた走りを再現して走る、いわばペースメーカーのような存在である。
ゴーストと呼ばれることが表徴するように、現実世界に干渉することはない。ただ半透明の自分自身が、過去の自己記録の走りを見せて去っていく。
スタートダッシュに出遅れる朝というのは、そのようにして快活に布団から飛び出ていったかつての自分の背中を永遠と見つめ続けなければならないことに、我慢がならなくなった朝のことで、もしかしたら、出るところに出たら、あなたそれは鬱病ですよ、なんて言われてしまうのかもしれない。うるせえ、医者ごときに、何がわかるんだ俺の人生の、などと噛み付けるうちは、とにかく先頭集団と比べて何周遅れであろうと我慢して布団から這い出る。その後も頭が回らず、腰も立たず、事あるごとに煙草を吸いに腰を下ろし、庭を訪ねてくる種々の虫たちに目をやる。欠伸で目脂が湿り気を帯びる。
エンドロールが長すぎる。そう思うと同時に、もっともっと遊んでいたい、という気持ちも存在する。