長い防波堤を

産毛に水滴が引っ掛かったような、軽いわずらわしさを感じて腕をさする。
明日はコーヒー ムテのドライブスルー。
北名古屋市のヘアサロン、 tablier さんの軒先をお借りします。
深煎りと中深煎り、二種類の豆とコーヒー、ドーナツをご用意してお待ちしております。

いつまで続けられるだろうか、心もとない気持ちで舵を取ってから早くも2か月が経って、世の中は元通りの営みを繰り返そうと動き始めている、そのエネルギーを感じる。
雨風の凌げる場所を用意して、綺麗に繕って、お店を営んでいる人々には頭が上がらない。
私もそちらへ行きたい。お客さんの多寡やメニューに頭を悩ませたり、日々試行錯誤を繰り返してみたい。
しかし盆地で暮らす人が想像する海が貧弱であるように(知らないけど、濃尾平野で暮らす私の心にある海は貧弱だ)、私は日常からあまりにかけ離れたものについて、仔細に想像することができない。
裏を返せば、軒を借りて店を出したり、どこかの空き地をお店に変容させたりすることについては、どんどんと想像力が膨らんでいく。足元の道がどこに続いているのかを熟知した者の足取りは強固だ。
色々な場所を変容させてみたい。そういえば三沸寺の投入堂、観たいみたいと思いながら、まだ一度も足を運べていない。
長い一本道。防波堤をかすかに越える飛沫を気にしながら訪れるコーヒー屋。
想像はどんどんと膨らんでいく。