短い夏が始まって終わる

あんたの庭に咲いたもやしの花びら、あたしが全部煮つけにするんだからね…。
どうかしてる、それが現代版愛の賛歌だとでもいうのか。
男の手には乾電池を模したスタンガン、髭は剃りたて、残月は雲隠れ。
いつかまたこのY字路にコンベックスおっ立ててさ、『火の鳥』やろうぜ
独自の息継ぎで輪ゴムのヘリを磨いて切る新しいスポーツだ、びっくりスポーツ図鑑で見た、第三世界で流行ってるやつだ
まだ日本語が少し残ってる島しょ国で流行っているらしい
いいけど、俺は腕時計に目をやる。文字盤にはメール受信のお知らせ、後腐れなく家に帰るための所作だ、時刻なぞどうでもよかった。現にまだ朝の9時だが、終電を理由に俺は帰った