もぎられることなく期限切れ

日本語はどうしてこう、身を削ってひり出すような動作だ。
「あいしてる」の対訳が、”I love you” であることがやっぱり、心のどこかで、いや目抜き通りで、信じられず立ちすくんでいる。
グローブもなしにボクシングを続けているような心地。リングの外では壮大な賭博が行われていて、好奇と敵意、後ろから肩をぐいと掴んで眠気を誘うような馴れ合いの言葉をかける男の口臭以外、なにもない荒んだ世界である。
不自由だ、という意味ではない。ここが水を飲むためには命を奪わなければならないような往来に見える。と言っている。
年齢を重ねて、人にものを伝える勇気と笑われない経験、瞬発力と意を一つにした身体を鍛え上げたことで、私はテクニカルに心情を訴えることに長け、たどたどしさが語る真実から瞬く間に遠ざかった。手にしたものはお財布に優しい言葉、つまり時間の節約だ。
妻は時間をかける。大切なものに時間をかけるために、ありとあらゆる時間を節約する。
私はあらゆるフローリングに目の細かい鑢をかける。靴下一枚で、海を目指せるように腕を動かしている。
間違った営みを続けて、間違いだけで埋め尽くされて、希望を見出すことすら望んでいない、そんなものは煩わしい行先が掌にねじりこまれるだけだと、できるだけ笑顔で伝える。