捨てるところのないもの

どうして豚が選ばれたのだろうか?
あなたを尋ねてまわる誰かは、通りを行く悪人よりもあなたをどうにかしたがっている。
父親が息子にとって、世界一の悪者になり得る可能性が高いのは、ありとある毒薬が息子と関係を築こうとしないからだ。
強烈な旋回速度を伴う言い訳だが、どんな言葉もその可能性を秘めている。
私は頭を抱える。落ちくぼんで膝を抱え、天を仰ぎ瞼を閉じる。
私は怒る。頬を赤く染め唇を震わせ、口に泡しながら何事かをぶつぶつと独白する。
私は憧れを指の重みで潰していく。出てきた乳白色のゲルをコートの裾になすりつけて、誰かに近づいていこうとする。
知り得るだけ知って、また去っていく。
留まる掌が握りしめるものが物騒に見えて仕方がないので。
私は怪訝な表情を向けられる理由をすべて知っている。
完璧な球体であるあなた方!
私はかつて同じ集落で田を耕していたものです。
あなた方と同じようにして、すれ違うまでダッシュボードの奥をのぞき込んでいました。
書斎にはグラチスの指揮するラフマニノフ、ラヴェル…ゆえに眦は手抜かりなく鈍色を湛えて、目であることの恥じらいを忘れたかのようにして、私の鞄を捉えている!
母川回帰を見事に遂げた暁には…私は油と凝固剤の混合物を燃えるゴミに出し、硬く締まった田を耕し来訪者を待つだろう。
レーキを握りしめる力を、強めたり弱めたりして確かめる。