ダッピ
押し寄せてくる 「くたばれ」という声の合奏に 心がどうしても争ってしまうわけでして 抗うその心を横目に、薄ら笑う 私は今日も煙草に火をつける
押し寄せてくる 「くたばれ」という声の合奏に 心がどうしても争ってしまうわけでして 抗うその心を横目に、薄ら笑う 私は今日も煙草に火をつける
寒い 財布の中を弄る指を止めた、全ての丸められた背中よ なんとかなれ
俺が美しさを捨てても 美しさは美しいままだ
テナントが全て撤退した後のがらんとした大きなワンルームで、足元を埋め尽くしていたのはチョコレートの透明な包み紙とバドワイザーの空き缶だった。わたしは尋ねた、彼はどこに? 男は答えた、裏返ってしまったんだよ、彼はもう戻って...
「いかがか…」 男は正八面体の瞳を、期待と期待を覆い隠そうとする見栄からくる動揺と8gのケイパーの塩漬けとありとあらゆる不安の煮凝りとで左右に震わせながら訊ねた。いや、正確には訊ねなかった。問屋の首には既に匕首が突き立て...
男が刃物を作ろうと思ったのは、その一切をなんの脈絡もなしに断つ切り口が、死という出来事が後に残された私たちに見せる性質に似ていると考えたからだ。男に与えられたありとあらゆるまやかしは、男が鉄を打つ営みを止めさせることはで...
なにひとつ、うごかないようでいて、あなたがどんな波に洗われて、どんな日に焦がれてどんな風に唇を荒らしているのかわからない。もどかしげにどうか話してみてほしい。小数点以下の余剰をほんの少しだけでも覗き見て、それが私の日々つ...
チョークを置いて、その誰かが話し始めた。意味のない物事が連続して連なっていけば、それはそれで一つの意味を描き出すものだ。キャンバスに点が三つ、あれば人はそこに誰かの顔を見出してくる。それにしても、赤道っていうものは地球を...