どこまで追ってくるのか?

「母さん、ニールセンの作曲群はすべて、それが音を伴うという点以外になんの共通点も持たないようだね?」 ヴェネタはおそれ、そしてたじろいだ。 私に足りないのはヤリイカに似た勇気、暗闇をかき分ける目元のラメがまじないだ。そう...

未完

心を幕張に置いてきてしまった。 正確に言えば、東京湾に忘れていた記憶を引っ提げて帰ってきてしまったため、整理がおっつかない、と言ったところだろうか。 ジタバタしても、打ちひしがれていても、子は育ち腹は空腹に唸り夕方を告げ...

無くした海に来たので

記憶は場所に依存している。 それは私がいつまで経ってもお皿を返すことができないでいるカフェの事や、遠く離れた友人との思い出があまり積極的に思い出せない事に対する、フワッとした言い訳である。皆は諦め、私に対して通俗的な理解...

苦しいことはない

せっかちで気が早い私の、破壊衝動に似た、…似たというか、明け透けに言って壊してしまいたいという欲望は、美しいと見染めたものに近づきたい、一つになりたい、または母の腹の中に戻りたい気持ちの変奏である。 昨日今日と、立て続け...

白いときってなんだよ

煙管を吸う、呑む、のが好きである。お前が煙管なんぞ、10年早いと言われ、それからもう8年は傍らにあるわけで、あと2年で、ジャストタイムである。 何が?知らない。10年早いと言ってのけた輩に聞いてくれ。これじゃまるで、慣用...

写真は美しいのに

写真や映画の何が良いって、嗅覚から隔絶された世界に収まり良く存在してるところかもしれない。 鼻は実にさまざまの情報をもたらしてくる、時に迷惑な存在で、そういえば何かを手に取った時に私が真っ先に行うことは匂いを嗅ぎ取ること...

the fourth person

窓越しに見る雷とか蝋燭の灯りのチラつきはドキドキする、一方は家内で行われる秘め事を断罪するように照らし、一方は秘め事の存在を暴こうとするように往来へ伝える。朝靄や西日が焦がし続けた栗毛に拐かされず真実を見つめ続けようとす...

6.18 ムテのコーヒー教室

コーヒー教室を行います。コーヒーの抽出についてお教えします。とにかく様々の情報が玉石混交のコーヒー世界。様々な人々が、各々の信条にのっとって、てんでバラバラの事を話します。私のコーヒー教室はどちらかというと、情報の波をま...

ごみくずの話

囲炉裏の煤で燻された家屋には虫が寄り付かなかったそうである。野菜の生育を阻害する雑草の類は山羊や羊が食べてくれたんじゃない?長い長い、長い人間生活の中である日突然、意義を見出されなくて排除された営みの、副次的な要素が、今...

ロールケーキ美味しいね

息子が熱を出し、幼稚園はお休み。とはいえ身体は動き、手持ち無沙汰な息子は妻と一緒にロールケーキを作ってくれ、それを私は食べた。文章下手か。 スポンジにくるまれたクリームが少し変わった味がするように思っていたところ、砂糖が...