未完

心を幕張に置いてきてしまった。

正確に言えば、東京湾に忘れていた記憶を引っ提げて帰ってきてしまったため、整理がおっつかない、と言ったところだろうか。

ジタバタしても、打ちひしがれていても、子は育ち腹は空腹に唸り夕方を告げる時報は鳴り続け、鳴り終わる。ならば仕事に忙殺されてしまいたい。我を討ち取る猛者はあらぬか。

いろんなことがしたい。体が制約を課すぎりぎりまで、私は何事かに従事しよう。出かけたいのだ。そしてそれは両足を交互に前へと送り出す動作を伴わない。

歌を伴わない、展開の少ないけれど確固としたムードを纏った楽曲に、よく似合う文章をiphone の読み上げ機能で再生して、新しいポエトリーリーディングの地平を開こうと考えている。今日の課題曲に私は天候の情報…それも、船乗りが舳綱のほつれをみるように、命を預ける海洋情報の羅列がしっくりくる事に思い至る。

しかし、肝心の情報に肉付きが足りない。彼らに必要な情報は何か。大きな貝塚はあれど、今は干上がって久しい内陸の町に暮らしている私には、彼らの助けになる情報が一体どのようなものなのかが、さっぱりわからないのだ。

こうして私は、言葉を得ようとする。見ず知らずの船頭がいのちを預ける情報の形を知ろうと欲する。また人に会いに行きたくなる。

ラムネのかけらが銀を纏ういちまいのしせい