グラウルと白内障

朝起きて、祖母の月命日の供養。坊主の読経は毎月節操なく読み上げ方を変えていく。涅槃に至る道を探しあぐねて、今まさに頭を抱え苦しんでいるさま、そのままのような声色。誰の背中もさみしく小さくなっていく朝。 母屋の軒から一直線...

辺境

パワースポットなんていう、呼称が流行りだす前は、個々人にとって「それ」に当たる場所は何と呼ばれていたのだろう。もはや思い出せない。くやしい。私にとってのそれは、海の向こうにある(くやしいのでパワースポットと言いたくない)...

あんまり遠くに行きたくない

おしゃれをすることに興味が芽生え始めたのはいつ頃だったろうか。クローゼットを飾り立てるお気に入りの服たちに恍惚とするのは、ほんの少しの間だけだった。逆立ちしようがどれだけ勉強を頑張ろうが、足は二本から先増える兆しはなく、...