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うららかなお天気ですね。いかがお過ごし?
なんにも拠り所がないままに世に放擲されて、うまく歩いていくのは難しい。
祈るなんて言っても、一体なにに祈ればいいんだとこぼしたら、彼女は心に不思議な生き物を飼い、それに祈ると言い放った。なんだかとても面白い。
祈りの矛先は神仏のような、人間ではない高次元の存在なんだろうと、私はうっすらと感じていたわけで、だからとても偉い存在なんだろうと見做していたのだが、その存在と私とを「飼う」という関係で結びつける発想は無かったので、とても面白い。面白いことがあると、拠り所はないままに、また一つこの世に好きなものが増えていく。


『R-16』という、昔ヤングマガジンで連載していた暴走族漫画が好きだった。
今ほどインターネットを誰しもが利用する時代でもなく、かつそこまで人口に膾炙した作品でもなかった(たぶんね、たぶん)のだろう、好事家の誰かが名言や考察をまとめた自作のサイトが存在するわけでも、まとめサイトがあるわけでもないので、うろ覚えなのだが、車いすに乗ったキャラクターが「リーダーは、彼に付き従う者たちに使役される」といった言葉を放っており、神仏なんかまさにそうだよねと思う。(他にも「弱いやつは優しくなるしかねえんだよ」といった名言。格言の宝庫なのだが、ネット上でミーム的に拡散された事例を見たことがない。もっと多くの人に知られてほしい…別に誰が読もうが嬉しくもなんともないけど)
 

不思議な生き物。この世界に存在していない形状の生き物を想像してみることは、案外難しい。別に形状を独特にしたところで私が「不思議な生き物」として認識するかはわからないし、本質はそこではない、にしても、独特な形状を想像してみたくなる。けれど案外難しい。
なにが難しいか。すでにこの世に存在している生物の事例を逸脱することが難しいのだ。
口と肛門が同じ…それはクラゲのような刺胞動物。手足が無数に…イカもクラゲもそうだよね。手足が短い…マンチカンやダックスフントを交配してきたじゃない。酸素の供給が必要ない…サケに寄生する生き物が呼吸できないらしいよ。眼球が複数…ミズスマシ、あと広義にはヨツメウオもそうだよね。体が哺乳類で、翼があり…それはキメラや鵺といった伝説上の生き物という形で表現されてきてるよね。
意外に難しい。欠損や合成でなく、存在しない生き物を想像することは意外に難しい。