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突然忙しくなった。正確に言えば、急がないとどうにもならない局面まで何もしていないだけであるが。

私の侘しくて大したことのない、どこにでもあるような人生の中で「贈り物のセンスが良い」と2回褒められたことがあるので、私は贈り物のセンスがいいと34年で2回褒められる程度にセンスが良い。
人の贈り物を選んでいる時間が私はとても好きだ、自分のために買いたいような代物を、血の涙を流しながら他人様にくれてやる、身が引き裂かれるような思いをしながら贈り物を選ぶあの時間が好きだ。
送りつける相手の事をずーっと考えて、そうして今までの薄い(だいたい人と沢山交流を重ねた覚えがない)思い出を振り返り、あのときあの人はイチゴの乗ったケーキとザッハトルテとで悩んでいたな、とか、そういえば以前お邪魔した時にコーヒーはマグカップで出てきて、カップ&ソーサーなるものは持っていなかったな、などと考えを巡らせているうちに、だんだんその人のことが好きになってくるから不思議なものである。

だから嫌いな奴にはどんどん贈り物を送りつけるといい。ビールとかサラダ油とか、洗剤とかそんな、自分がもらっても2秒もしないうちに誰から何をもらったか忘れてしまうような代物だったら最初から送るな。減点方式の輪廻の輪からは飛び降りて、キャッチャーミットもマウンドもない空間でいきなり豪速球を投げるような真似をするうちに、だんだん自分の「こいつ苦手やわ」みたいな感情は、少なくとも自分の抱く嫌悪感だけは緩和される。
相手がどう思うかわからないって?
じゃあ逆に聞くが、相手の何を知っているというのだ。
眠たいことを言うな。おやすみ。