1/2 夜

突然羽を失ったような心地がある。今までこの掌が掻き、羽ばたいているような心地がしていたその場所が空でもなく、果たして瞳が受け入れ認めていた光という存在も心もとなくなり、私はハンドルを握ったままギアを微動だにさせず、その場にうずくまって数十分を経た存在であった。目に入った脂汗が見せるものを虹だと呼んだ。

幽霊を詩に閉じ込める作業は難しい。
開けるためでなく閉めるためにのみ存在する鍵…たぶん、煌めく星屑とか、オーロラの端の方とか、古今東西のありとあらゆる料理に関する描写を経てから本題に入る理由は簡単で、彼(または彼女)一人しかいない空間に閉じ込めるのは可哀想であるし、きっと誘いに乗ってくれないからであろう。ひらめいた。きっとそうだ。
私はまた天国を作ろう、スーパー銭湯以外の天国。虫…虫は例えば、生まれ落ちたこの世を天国だと思うのだろうか、地獄だとなじるのだろうか。
彼(または彼女)にしか見えない羽の模様があって、それを目掛けて突き進むさまからは、何も読み取れない。