見つけ出してくる

笑顔を保てば解決されるものは限りがある。
怒りを突き合わせて解決する問題も限りがある。
これら二種類の問題は、背格好は異なるけれど、どことなく目元が似ている兄弟のようなものだ。
別の道を降りたら違う渓谷にたどり着く、そういう山道だ。
人の中に眠る動物を起こしたり沈めたりすれば進む物事と、世界中のどこからか、数式を見つけ出して当てはめねばならない物事とは遠縁にすら当たらない。
これら二種類の問題は海と山くらい、準備する道具が異なってくる。

そろそろ椅子に腰かけて、本を開こうか。
それとも人肌に冷めてきたであろう、コーヒーを飲んでみようか。
「…みんなでいるときはさ、特に口を開こうともしないけど、二人っきりになった途端、いろいろ気をまわしてしゃべり始める、優しい人っているじゃない。superfly とかミスチルとか、aikoもそうかしら。優しい人なのよ。彼らにとって音楽はコミュニケーションツールであって、自分が受信機であるとは思っていないのよ」
退屈を操ることは容易ではない。乱雑に積みあがった本の山に、誰かは傷つく。
緻密なサービス精神は、空間のそこかしこに私の息遣いを残すこと、残さなかったことの総和だろう。
さあそろそろ、本を開こうか。