紹介状

彼の仕事は7番街西地区のバラックに据え付けられた共同便所の糞尿をあつめ、トラックの荷台に乗った蓋つきのコンポストにぶち込んで回る…汚穢屋だった。

最初にダメにしたのは鼻だった。とにかく仕事の遂行に差し障るので、ジンでうがいをしてから出かけるのが常だった。誰も掃除しようとはしない、こびりついた便の乾いたものにうっかり触ってしまった時の感触が嫌で、ポプラの幹に何度も掌を打ち付けて、硬く厚くすることを覚えた。仕事の合間は、ジン以外は何も口に運ばず、一言も発しなかった。両まなこは夕日のためにとっておいた。心は死の後に訪れる永い永い休暇のことを思っていた。