知らない人の名前

たえず蠢く雲を眺めて、自分には関係のない遠くの出来事に思い煩っているうちに初めて、私の中に力への意志がむくむくと湧き出てくるのを感じる。
手際が悪いことを責めるわけにはいかない、ため息としつけのなっていない微笑みで乗り切ってきたけれど、思ったよりも努力を要する場面に差し掛かっている。
私は私をへとへとに疲れさせる。手に持った竹光を捨てさせる。
急いで走りレジに向かう、胡坐を組むことに肉薄していく。
銃を床に捨てさせる毎日。掃き掃除は得意なんです。甍に向かって叫ぶ。
積み木崩しに遭うバイパスを思う。
こんな鉄の塊を高速で動かしていること,、諸人こぞりて悔やむ日を想像する。
一旦、わたしたちは豊かになりきったので、私は私の思うところへ帰りたい。
それはひねもす光のささない室外機に囲まれた雑居ビルの中庭かもしれぬし、人里を離れた山間にたたずむ潰れかけの寺なのかもしれない。
なにがなんだか、は、そもそも誰もわかっていないはずだ。
キッシンジャーって誰だっけ。痒みの引いた右腕をさすり考える。