涙とかいうもの
落ち尽くせ、草木も芽吹かない
それにまつわるあらゆる用事を燃やし尽くせ、暖も取れやしない
貝殻を一粒投げて落ちる音に勝る神秘がそこにあるか？
心室細動に勝る緊急性はあるか？
空腹に耐えかねて喉元から退場する唾液ほどの潤いはあるのか？
口の周りにこびりついた土塊を舌でねぶり落とし、吐いた唾が膝にかかるんだよ。
それで、訳知り顔の大人が日はまた昇るだの、止まない雨はないだのと言うんだ。朝が来ること、日が沈むとまた朝が来ること、日が沈むとまた朝が来ること。また来ること。来ること。
少しだけ反りがあって、屋根を支えるわけにはいかなくなった根太らにとって、憎むべきは頭上の瓦か？性懲りも無くまた昇ってきたやつらに焼かれて、動かなくなったこころが足を止めさせて…目の前のバックドアが閉まる。
