小湾の愚帝

カモメはいつまでも魚を取るふりをして錐揉みを続けた。魚影は、この桟橋からでも認められるのに、である。聞けば理由は明らかである、と。君はそっぽを向いている。

つまるところ、正義の正体が暴かれたわけではない。株価を変動させるその笛がすげ替えられただけだった。為政者は少しだけ酔っ払い、タイプを打つ。末端の男は泥酔して、自らの履き潰した靴下を喉に詰まらせて死んだ。

ダンスを終え、ボールルームの重たい扉を開け放ち首窄めバンと車のドアを閉める。耳鳴りの騒がしさに任せて息をつくと、灯油まみれの神がボンネットの上で何事か呟く。むにゃむにゃとうるさいが、初めての殺生に慄いている奴らの吹き溜まりだ、この渚は、だそうだ。