SF的頭の体操

水の星に住んでいるなあと、実感する時がある。

フロントガラスを雨が無遠慮に叩き、空には厚く灰色の雲がまだたんまりとあり、何本もの川にかかる橋を渡っている最中。

違う星のありかたを想像してみる。SFテイストな頭の体操。

重力が違う自転周期が違う、恒星からの距離が異なるから昼は1年で数時間など…。

これくらいは、想像しやすいし、実際にある。たしか。

水がない…そんな程度の特色を備えた星はザラにある。むしろ逆に、水がある星の方が珍しい。

全ての生物・無生物…土壌までもが、発泡スチロールに似た素材で、人間が握ると簡単にほぐれてバラバラになる星、というのはどうだろうか。

恒星からの光は年に一度しか刺さず、常にガス状の気体に覆われている。生物はそこからふりそそぐ灰のようなものを摂取して生命を維持している。ひねもす降り注いでいるため、生命体は備蓄について考える必要がなく、個体ごとに形状は違えど害敵には当たらないため、争いが起きない。したがって知能が発達しない。

排泄物を分解するような生物はいないため、必然的に彼らの足元は彼ら自身の排泄物が敷き詰められている。月に一度吹く風がそれらをどこかへ押しやって行く。押しやられた排泄物はたどり着いた先で新しい別の生命体となる。

完全なる平穏、争いのない世界、増え続ける人口。どんどんと少なくなって行く雲間から、年に一度の日差しが覗く。

瞬間、地表にあったありとあらゆる生命が溶けて無くなっていく。恒星からの距離はあまりに近く、熱の前に発泡スチロールは、あまりに脆かったのだ。

みたいな。