子供と公園に行く。
走り回る子供を追いかけたり、木の実を拾ったり、手ごろな大きさの桜の梢を持ち歩いたり、私は彼の後を追ってハンカチで額の汗をぬぐう。
思えば彼とこうして二人で何処かへ行くこと自体が、最近は久しぶりである。
徳島にいた頃は、休みのたびに何処かへ出かけていたような気がするのに。
不誠実である。
町がどんどんと広がってゆき、私は私の手足をどこまでも伸ばして行ける。
移動にかかる時間は万人に大差がなく、家で指をくわえている妻や子供がいる。
小さく小さく、手の中に収めていけるようにしたい。
入りきらなかったものは、その場に捨て置かなければならない。
身体が二つほしい。