ある人がいう、答えはとんでもなく分かりきったものであって、分かりきった場所にしかも置きっぱなしであるという。
それにしてもどうして我々は我々同士の殺し合いで食事を完結させることができないのだろう、
という、
一見薄気味の悪い、しかも我々人間だけでなく他の肉食動物であっても、例外なく他種の生き物の生命を奪って明日の糧としている事を、完全に忘れ去った疑問が湧き上がり、私は生き物のどういった側面を見つめているのだろうか。内省の声。
豚が豚の内臓をミンチにした飼料を食べて育つことに嫌悪感を抱くくせに、鶏の首を刎ねて羽を剥いで逆さにして血抜きしてハラワタを取って(順不同だ、やったことねえんだ許してくんねえか)各部位ごとに切り分けて塩と胡椒を振ってローズマリーやタイムなどの香草と一緒にオーブンに突っ込まれて火を入れられた肉に、美味しそう、と声をかけたり満面の笑みで歓声を上げたり、することについて誰も疑義を唱えようとしないけれど、うん、あれは十分狂ってる。
しかし俺はそれら肉の全て、それらを食べたくないわけじゃない。あれば食うぜ。歓声がおかしい。悲しい顔もどこかお門違いだ。知り合いでもないんだから。
じゃあどうすんのか。
黙って食え。
明日も冷えるんだから。