自由席

遅れてきた男を見咎めた、宇宙で最初の人間を探している…

そいつはとっくに死んだはずだがな、もし生きていたら…どうして今は遅れをとっているのか?問い詰めてやるつもりだ…ああ、くそ!iPhoneの充電コードが1.5mだろうが、2mだろうが、どうだっていい!

だのにどうして、私の生活にぴったりと馴染む長さの充電コードがこの世に存在を許される!?

どうして髪ゴムで束ねたコードたちはこんなにもチンケに見える!?

私の目がイカれて…それは、きっとここ10年で海外のシネマスターたちの瞳に占める黒真子の割合が小さくなって、独断の横行する私の世界では、彼らと同じ母語でお話ができそうに思えてしまうことも端を同じくしている。曖昧さが軒並み打ち勝ってきたってわけ。

そのうち、私の席に置かれたネームプレートは私のものでもあってあなたのものでもあるような、私の串刺したフィレ肉のソテーがあなたの口元を汚すような、それはある種、死んでいても生きていても平熱の世界が続くことを次第に意味していくのだろうか?

付随する余計な物事に本質が紛れているなら、私の手が握っているこれは一体なんだというのだ!?