長靴は片側三車線の、広いバイパスの上にあった
高速で蓋をされたバイパスの上、車線と車線の境目に寝かされて落ちていた(人間とは勝手で、こんなにも小さいくせに、頭の上にモノがあるだけでこんなにも息苦しい)
その沈黙に目を向けるものはなく、開口部までこびりついた泥は日に焼かれ白い土塊。
それは、かつてこの場所まで押し寄せた津波を示していたのかもしれないし、ロードサイドでの落とし物の末路を体現していたのかもしれないし、そのどちらでもないかもしれなかった。
存在の主張…声はあげなくとも、君の存在はすでに十分にチャーミングで目障りだ。
少し通り過ぎてから私はサイドミラー越しに、長靴を眺める
それを見つける前まで、助手席に横たわっていた退屈が再び首をもたげて様子を伺ってくる。枕木は私の後ろからずんずんと敷設され、ついに私の肩を掴む。私の存在を過去と地続きのものにいたらしめるもの。
私は返事をしない。
その目はすでに、巨大な金属工場を見つめている。