瞳が、人間の瞳がどれくらいの塩分で永遠に閉ざされてしまうのか知りたくて開いた本に、魚は死なない生物だと言われている、と書いてあり、そういえば捌かれることなく死んでいる魚を見ることがあまりない理由は、海の近くに住んでいないから、だけだろうか?
殺され、跳ねられたりでもしないかぎり、脊椎動物は自らの骸を人間の見ている世界には置いてゆかない。わたしの友達だった猫はもう三ヶ月も行方をくらましている。どこぞの草間に私の知りたくない結果が転がっており、しかもそれは蛆にあらかた片付けられた後なのかもしれない。
おおっぴらに不遠慮に、そこ此処で足を広げて事切れている虫たちとは、生きる上での決め事が異なっているのだろう。
死期を悟ったけものたちを、待ち構える場所のようなものがどこかにあって、皆そこに匿われて時を待つのだろうか。
それとも皆、じつは魚で、殺されるまで生きているのだろうか?