閉所恐怖

「死後、さばきにあうんだってさ」宇宙に行けない渋谷は自らをそれに変容させたがっているみたいだ。生きた報いが欲しそうだ、それはセミがセミからずるりと脱出するときに現れる白くて細い管だ。私は延々と上下動を繰り返すエレベータの...

テネット

猫は跛ひき、跛ひいたままどこかへ行ってしまった。あれじゃ遠くへは行けまい、だけど探しても見つからない。風もないのに騒がしいのは丸ノ内線の通奏低音、傍らの私めは、ぼんやりと欠伸をひとつ、ふたつ…。三つ目をタッパーに持たせて...