「あのう、すいません。こちらはA4出口で間違いないですか?リンゴだけを食べて暮らしていたいのですが…。」
男の額には焼け焦げたスパム、それでこんなに夜が長い。
お互いにかかわることのなかった、鳥と豚の脂をひとつ鉄鍋で焼き付けるなんて、寝汗を伴う悪夢みたいなものだな。
互いの無関心を種に結んで、生れた子供ら川べりに遊んでいる。
自分以外の世界の存在を認めないことは、つまるところ、みんなともだちってことだろう?
すし詰めのエレベーターで誰かが声を押し殺して笑う。
答えはない。地球のあらゆる滑稽さを煎じ詰めたような男。
こんな時代に耳を貫く備考欄は私の夜を沈めてくれるのか?
ぐるぐるとかき回して、ゆっくり丁寧に叩きつける湯飲み茶わん。
蟻の群れがさまよってみな、一様に目指す回廊俺も招いてほしい。
誰かの確信に、肉薄したい、もしくは消え去ってほしい。
三千海里むこうの夜空に落ちた針の音すら、私の頭痛のタネで、今日からよろしくといった気持ちを伝えるのだ。