Daniel Johnston を聴いている。狂ったようにだ。
ずっと一人の女性について歌っていると聞いて、驚いた。
じゃあお前は、彼がなにについて歌っていると思っていたんだ?と尋ねられても、困る。
歌う空洞、と思っていたのだろうか。
うるせえな、何も思ってなかったんだよ!
10代から作曲活動を始めて、結構な数の作品を残している。
改めて耳を澄ましていると、運命の(と、彼が認識している)女性が傍らにないことを嘆いているような内容が多い。
ずっとそんな調子で、明るくて軽快なオルガンの伴奏がより一層哀しみを引き立てる。
泣き止んだ後の微笑みの方が、哀しみを連れてきたりする。
もう何十年と、同じ一人の女性を歌い続けていたとしたら。
彼の頭の中にある女性と、実際に何処かの街で暮らしている本人との乖離は、もう如何ともし難いところまで来てしまっていたのではないだろうか。
その声は、誰に向けた誠実さだったのだろうか。