ガンダムのプラモデルが好きな子供だったな、そういえば私は。
おぼつかない手つきでニッパーを使って土台から切り離し、もう一度使ってバリを取り、ヤスリをかけて。
スプレーでムラを無くそうとするといつも厚塗りになった。
出来上がったマスターグレードを飽くことなく眺め、ふと、これはしかし私が作ったのだが、私ではないことに思い至り。
どうしてよいかわからず毎度、ペンチで砕いていた。
砕いては見惚れ、見惚れなくなるまで砕いた。
あの少年は今、夜更けに冷やしうどんをすする私のどこに息づいているのか
誰に尋ねればわかるのか
ここには生憎コツコツと刻まれる時計の音しかなく。