幽霊は見えている

そこには浅はかな私にも手に取って掬えるほどの悲しみが溢れていた、人が不恰好にもがいている様や想像の集合体に、誰もがひっくり返るようなとびっきりの美しい名前をあてがいたい、しかし名前が全てを刷新できるのか、それは魔法になり得るのか、魔法を見たことがあるのか、マッチがオイルライターより後に生まれ、そして今も売られているような魔法を?

私は生きながらえている。私の目にした叫びは、幼稚で感傷的なポエムに宿る恍惚とした感情の一切が見当たらない、それは波の高さを伝えるラジオ局のようだ。

うらがなしい、ってどういう意味だっけ。私はやがてくる未来に震えてみせる。私よりも悲しんでいる人の目に、私は止まる。私の涙はその時、無かったことになる、その連続。