つぶれかけた光に向かって、追剥は鉄条網をすり抜ける
あの奥で銃を作ってるんだってさ、ほんとかな。
テニスコートにしか見えないけれど…
どうしてあんなに禿げ上がってしまったのに、おじさんは先物為替に詳しいの?
海の全容を暴くには私の手には指が二本足りない。
雲が凍る高さまで打ち上げられた花火の顛末は
彼の書架にたずねてみるといい。
西からすり抜けて行って、えっちらおっちら瞬いて、
夜露を舐めて過ごしている鹿の群れに出くわす。
ここにまで届く声で泣いている君はきっと
すごく近所に住んでいるか、大きな体をしているのかもしれないね
紅いマフラーから零れ落ちた金属片を見て
やっと
靴の裏が踏みしめる声の感触に思い至る。