渦巻いて風を呼ぶものは、裸足で降り立つ土に沈んでしまった。
夏の日差しが居心地の悪い開放感を招き入れ、鉢の張った頭によく似合う、私は帽子を目深にかぶる。
墓前に手を合わせる以外の窓口をずっと探している。あいにく地図は油濾しに使ってしまった。
前髪を分けなおす。話を途切るいつもの合図だ。
「いれものをとりかえようか それは正しい思いつきか」
歩哨は砂ばかり噛んでいることにたった今気づく。
曖昧な返事が許されない時間だ、チロリをのぞき込んだら、窓を閉めろ。
片肘をついて決して離れようとしない、私は目が開いたその時から回転していて、この足取りがわたしの思う直線であり君の言う放物線である。
見たところでわからないので、声を上げて、たちどころに灯りを消してしまう。
「いれものをとりかえようか それは正しい思いつきか」
水際でこれを抑えて…ゆらいでいる。ゆらいで水際でこれを抑えている。水際でゆらいで…
泳ぎ方はわかっている。手綱をゆっくりとほどくような動きでズボンを畳み、ラケットを取り出す。
餅だけを突いてきた人と、餅だけはつかなかった人が、こうして体を縁にして触れ合っている様をみることもなかったのに、境界線は黒いペンでなぞるのだな。