「マシュマロがちょうどすっぽりはまるくらいの額縁をください」
目が慣れてきて、あたりはゴカイにまみれた岩場であることに思い至る。
最近よくセバドーを聴いている。
昔バンドをやっていたころは、ジャグやカントリー、ジャズのサウンドでニルヴァーナに近づこうとしていたことを思いだす。
なんだか荒唐無稽なようだが、クローズドボイシングで軽やかに跳ねて行くピアノをバックに絶叫したり、してみたかった。背広の汗染みとか、エレベータの溝に落ち込んで何度も何度も轢かれていく誰かの使い古した絆創膏とか、清潔な大理石や敷きたてのアスファルトにこびりついた嘔吐物とか、そういったものと同じである。
よくわからない?
不潔に感じる気持ちは人が作ったんだ。
私の肩をぐいと掴んで、ホームレスが煙草をねだる。
私の懐を汚していく不躾な天使たち。
蛍に似せることで災厄をまぬかれる虫たち。
固い床で目覚めてから後の世界を生きている。