とってもとっても怖い

使っていないピアスの穴が5つもある。風に転がるタンブルウィードのような定まらぬ趣向だ。もう十数年近く、右手の小指の爪には真っ黒なマニキュアと決めている、遠い友人。今日も明日も続けることと言えば、煙草に火をつけることくらいだろうか。あとは仕事。

1万年先の事をちょっとだけ、考えてみるそぶりをしてみる。自分の存在が亡くなってしまっているであろう世界のことを考えるのは、とても怖い。

怖くないかい?俺はとても怖い。

これを書いている今、心臓は早鐘を打ち続け、息は荒く、どれだけ吸い込んでも心許ない。

死ぬのはいつも他人ばかり…デュシャンだったか?俺の人生では、俺は沢山の人と死に別れてきた。その目録の中のどこにも、俺の名前がない事に根拠のない申し訳なさを感じる。こんなに死んでいるのに、どうして俺じゃなかったのか?とても無駄な問いだと思うのに、目が離せないときがある。

夜中の山道、観なくても問題なんてないのに、外灯に照らされたヒノキの間に広がっている影になにかを見たような気がして、目を凝らしてしまうそんな、無益で物悲しい所作だ。

疲れて倒れるように寝てしまう以外に、私に死の予感から逃れる道は、今のところ見つけられそうにない。