耽る

どこへも行く必要が無くなった人の存在が、想像できる未来に現代が追いついて、私も限りなく、どこへも行く必要がなくなってきた。庭のドウダンがもう枯れている。例年より3日早く気付く。

種を蒔いて、毎日見守っている人どうしの諍いを止めるためだけの舞台装置、余所者とはそれだけの存在なのだろうか?

目の前にいる人と話をする、その目的の根本はどこにあるのか、ハナから勘違いして、勘違いし通しているのかもしれない。

どこかで息が詰まっている人がいる。私はその予感を思い出す。しかし溺れかかった肺は自らの血に満たされて揺蕩っているのかも知れない。

誰もあなたを傷つけようとはしていないよ、二の句に、そんな暇ないのさ、と続けそうになる。世界と私、あなたとの間に境界はない、そう言い切る事で私は誰かを傷つけてしまうのかもしれない。

今日はカレーがいい。玉葱を飴色になるまで炒めて作る、お手間入りのカレーだ。