プラットホームで待っていると、ベンチに腰掛け電話している見ず知らずの女性の、その声に聞き惚れて、電車を一本見送ったことがある。いつまでも聴いていたかったからだ。池ノ上駅だったかな。
いつまでも聴いていたくなる、これを会話で成し遂げることは難しい。音楽だと尚のこと難しい。そこに挑戦してみたい。
声の好きな方々に、私の好きな詩や短編を朗読してもらい、それに合わせた淑やかな、音楽とも呼べぬ、旋律の展開が極限まで省かれた演奏をレコードしたい。
気の長い、とても気の長い計画だけれども、いつか実現させよう。