踏ん張りきかないスニーカー

時間がない。
なんでこんなに忙しんだろーなー、スマホを見ながらへらへらしてみる。
職業に貴賤なし。ただしお給金に額の多少あり。
「一日8時間働けば、普通に暮らせる社会を!」の文字が躍るどこかの政党のポスター。
よく見かける。この場合の普通とはなんだったろうか。
化けの皮が剥がれていく時代だ。
昔はお坊さんが、俗世とたもとを分ち、本来ならば修行に打ち込むはずのお坊さんが原付に―真っ赤な jog だっただろうか―に跨って家に来たときは少なからぬ衝撃を覚えた。
あの時何才だろう、たかが5,6歳。
仏門の、俗世の何がわかるという年でもないのに、どうして私は衝撃を覚えたのだろうか。
皆人間に帰ってくる。
力なくほほ笑む。
君の気持もわかるよ、なんて言いながら鼻をほじって取れ高を見るやつ。
皆が凡夫に落ち着き、私もそれを見て安心しながら、愛しているそぶりを見せたり、急にどこかへ立ち去りたい気持ちに襲われる。
「いまだけは逃げないで君をみつめて」いようかなあ。